彫刻には、「模刻」と「塑造」という2つの練習方法があります。それぞれ、立体的な作品を作りたい人や、立体的に描く力をつけたい人にピッタリの練習方法です。今回はこの2つの練習方法を、私の経験を交えてご紹介していきます。
模刻とは?その意義と学び方
模刻というのは、手本を見ながら作品を作ることです。絵で言う「模写」と同じです。
模刻も模写も、ただ手本を真似るだけではなく、技術や表現を学ぶことが目的です。作品を追体験することで、新しい発見がたくさんあります。
私も美大受験の頃は、西洋彫刻の石膏像をたくさん模刻しました。模刻を繰り返すと、少しずつ表現方法がわかるようになりますし、理解できるように作らなければ意味がありません。
模刻の楽しみ方
模刻を始めるときは、自分が好きな作品や興味のあるジャンルを選びましょう。彫刻だけじゃなく、フィギュアや器、オブジェなど何でもOK。
お手本と同じ素材を使った方が技術的なことがよくわかるけど、はじめは粘土がおすすめです。粘土は削ったり足したりが簡単にできるから、修正がしやすいからです。
塑造の技法とその重要性
本来、塑造とは、粘土を使って形を作る技法のことです。だから粘土を使った模刻も塑造のうちに入ります。出来上がった像は塑像と言います。
ここでは塑造を自然のものを観察して形を作る練習方法とします。絵でいう「デッサン」と同じです。構造やリズムを捉え表現する練習になります。
大学の塑造の授業ではモデルさんが来て、人体彫刻をたくさん作りました。自然から学ぶことが美術の基本です。
塑造の楽しみ方
塑造のモチーフは、人間や動物、果物や野菜など、生きているものがおすすめです。
特に、手を作るのは勉強になります。人体で1番複雑な動きをするからです。複雑な構造や形を捉える練習になるからです。手をちゃんと作れるようになれば、全身も作ることができます。
模刻と塑造、どっちを選ぶ?
では、模刻と塑造のどちらどちらを選んだらいいか迷われている方に、選び方のアドバイスです。
シンプルに考えると、技術を学びたい、上手になりたい場合は模刻が向いていますし、創造性や表現力を伸ばしたい、自由に作りたいなら塑造がおすすめです。
でもとにかく「楽しい!」と感じられるものを選ぶのが大事です。楽しい気持ちが表現に現れるし、自然と集中できるから早く上達します。
美術を学ぶ意義
私は、美術を通じて感受性を磨くことが、日々の生活を豊かにする鍵だと思っています。
絵を描いたり、彫刻を作ったりする中で、感受性が磨かれると身近な物事の中の美しさに気がつくようになります。
そうすると、普段何気なく見ている景色や、日常のちょっとした物にも、新しい発見がでてきます。
難しく考えずに、自分の好きなことから始めてみましょう。
まずはお気軽に体験レッスンにご参加下さい。